「いつまでもなくならない人生の宝物」

「『人生の宝物』は何ですか?」と尋ねられたら、皆さんはどう答えますか。
愛する家族でしょうか。
充実した人生を支える健康な身体でしょうか。
それとも、何でも話せる友人の存在でしょうか。

私にとっての「人生の宝物」の一つは、大切な人との出逢いです。
「人生は出逢いの積み重ね」と言いますし、茶道の世界でも「一期一会(いちごいちえ)」と言って、出逢いの大切さを教えます。

その出逢いの形が今、様変わりしています。
特にここ1年半は、新型コロナウィルス感染症対策としてのオンライン・コミュニケーションの普及によって、対面による出逢いがめっきり減ってきています。
緊急事態宣言が明けた今も、企業ではオンラインを活用した在宅勤務が奨励され、近所に住む義理の息子などもここ1年、ほとんどと言っていいほど出社することはなく、上司や部下とも実際に顔を合わせることがありません。

そのような中で、とても興味深い体験をしました。
前社でのことですが、宮崎市に住むある会員の方から一人の男性を紹介されました。
宮崎では津軽三味線の家元として有名な方で、地元のテレビではレポーターとして活躍しておられたとのことでした。
体調を崩して人生に希望を失いかけていた時に前社の製品に出逢い、再び希望を見出すことができたとのことで、ぜひ会って話をしてほしいと言われたのです。

コロナのために出張が制限されていましたから宮崎には出向かず、オンラインでの面会となりました。
初めての出逢いでしたが、画面越しに見る彼の姿からは、失いかけた人生に再び光を見出したことへの感謝の想いがひしひしと伝わってきました。

それから何度かオンラインで話をする機会があったのですが、ある時、彼は私に夢を語ってくれました。
「元気になってタヒチに行き、児童養護施設の子どもたちの前で三味線を弾きますよ」。
しかし、そんな矢先、彼は大事な三味線と家族を遺して突然旅立って行きました。
とうとう彼とは、実際に逢うことは一度もありませんでした。
手を握ったことも、彼が醸し出す空気を感じたことも、彼が弾く三味線の生の音を直接自分の耳で聞いたこともありません。
でも不思議です。
ずっとそばにいたような感覚があるのです。

実際に逢ったことがないのにこんな体験ができるとは思ってもみませんでした。
「いつまでもなくならない人生の宝物」は、オンラインの中にもあるのですね。

 

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