「心の琴線に触れる体験」

コロナを始め何かと暗い出来事が報じられている昨今ですが、スポーツ界から嬉しいニュースが続けて飛び込んできました。
先週は競泳の池江璃花子選手が東京五輪代表選考会を兼ねた日本選手権で出場4種目すべて優勝。
リレー2種目での東京五輪代表権を獲得し、白血病からの奇跡の復活劇を見せてくれました。
闘病の苦しさから自ら命を絶つことまで考えたこともあったという池江選手。
治療の過程で落ちてしまった筋力をまだ取り戻せていない中でのこの素晴らしい結果は、彼女の並々ならぬ天性とそれを引き出す人一倍の努力、そしてそんな彼女を温かく支える周囲の友人やコーチ、家族の存在を感じさせるものでした。
と同時に、同じ病気で苦しんでいる多くの方々やそのご家族に明るい希望を与える出来事でもあったことは確かです。

そして今週の男子プロゴルフの松山英樹選手。
並みいる日本人プロが長年にわたって挑みつつも拒まれ続けてきたマスターズ・トーナメントでの優勝。
それを今回、見事達成しました。
私も途中からテレビで観戦しましたが、緊張の中での2位と1打差の勝利。感動でした。

スポーツ界のこの2つの快挙。
多くの方が久しぶりに心から喜び、そして感動の涙を流した瞬間だったのではないでしょうか。
特に松山選手が最後の18番ホールでタップインして優勝を決めた時には、解説の中嶋常幸プロやゲスト解説の宮里優作プロだけでなく、実況した小笠原亘アナウンサーまで声を詰まらせていました。
実況アナウンサーが感極まって涙声になるのを見たのは久しぶりです。
私も今回の2つの快挙の実況をテレビで見ながら、まさに涙腺崩壊状態でした。

さて、涙もろい自分自身の体験からして、たとえば通訳をしながら声が詰まるのはなぜか。
それは「共感」から来ることが多いです。
スピーカーが話すストーリーの中に自分の体験を重ねることにより共通の感情が生まれる。
すると、それはもう自分自身の体験として認識されます。
いわゆる「心の琴線に触れる」という体験ですね。

人の潜在能力の開花を探求する「モジュールゼロ」の世界では、この「共感を通して心の琴線に触れる体験」を大切にしたいと考えています。
人は皆、生まれた時から異なった存在であり、しかも何に、あるいは誰に影響を受けるかによって異なった価値観や志向が身についていきます。
そのような私たちが互いに「分かり合える」瞬間があるとすれば、その一つが「共感を通して心の琴線に触れる」時ではないでしょうか。
チーム松山の一員として松山英樹選手の活躍に大きな役割を果たしてきた通訳のボブ・ターナー氏の言葉をご紹介しましょう。
「私は言葉をただ別の言葉に訳しているわけではありません。選手の気持ちを知り、それに合う言葉を見つけています。そのことに誇りを持っています。ここ(頭)じゃなくて、ここ(ハート)で仕事をしています」。

世界中で「違い」がクローズアップされる中、私たちは「違っていても共感できる」ものを目指していければと思います。
「心の琴線に触れる」体験、「胸が熱くなる」体験はその代表的なものです。
仕事でもプライベートでも、そのような体験を大切にできる人生にしたいものです。

 

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