「私の20年前の大切な経験」

今日は私にとって、その後の人生に大きな影響を与えた大切な経験についてご紹介したいと思います。
この経験を通して、人生を根本から変える力がどこにあるのかを身をもって体験することができました。

人材育成のコンサルティングに携わっていた時の話です。
ある大手メーカーから「ライフデザイン(人生設計)」について研修を行うように依頼を受けました。
その会社は社員をとても大切にしており、宿泊設備を伴った立派な研修施設を持ち、そこで人事部が中心となって社内教育を展開していました。
私に依頼があった「ライフデザイン」セミナーはおもに定年退職間近の社員を対象に、平均寿命が延びた今、充実した定年後の生活に向けてどう備えればよいかを学習してもらうものでした。

その何回目かのセミナーに40代の女性の方が参加してきました。
60代前後の男性がほとんどのセミナーでしたので「なぜ?」とも思ったのですが、「何か関心があって参加したのだろう」と考え、人事の担当者に尋ねることもしませんでした。
セミナーも何も特別なことなく終了しました。

それから1年後に開かれた同じ「ライフデザイン」のセミナーの終了後、ある男性から声をかけられました。
「黄木先生、1年前に私と同じ姓の女性が参加させていただいたのを覚えていらっしゃいますか?」
私は驚いて答えました。
「ええ、もちろんです。よく覚えています。ということは奥さまですか?」

彼はうなずくと、いきさつを話してくださいました。
「実は当時、妻は重いうつ病にかかっていて、それこそあらゆる手を尽くしたのですが、まったく効果が見られませんでした。そこで、人事の方に相談したんです。すると、思わぬ答えが返ってきました。『ライフデザイン』というセミナーがあるので参加させたらどうかと言うのです。正直、何の足しにもならないと思ったのですが、驚きました。セミナーから戻った妻はまったくの別人でした。まるで夢から覚めたかのようでした。今では完全に普通の生活に戻れています。そこで、1年経った今、お礼かたがた何が妻を変えたのかを知りたいと思い、私もセミナーに参加させていただいたというわけです」

私は尋ねました。
「それで、何か気づかれましたか?」

彼の答えはこうでした。
「はい、人は不完全だが無限の可能性を持った愛すべき存在であること、自分の不完全さを謙虚に認めた時に無限の可能性への扉が開かれること、そして誰もが人の役に立つ存在になれること。こうしたことが妻の心に響いたのだと思います」。

私たちの心は本質的なものに触れた時に共鳴します。
文字通り「心の琴線に触れる」のです。
そのような体験に彩られた人生こそが本当に「幸せ」な人生なのではないでしょうか。
そのためにも、常に本質的なものを追求していきたいと思います。
私の20年前のあのセミナーでの体験は、この大切な原則を教えてくれるものとなりました。

 

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